50を過ぎたら、人様や世間のために生きる

岡本彰夫(奈良県立大学客員教授 /元春日大社権宮司)

 人生五十年は、よく耳にする言葉だが、コレは仕事の事だと思う。 ヨワイも50を迎えたら、どんな仕事でも大きな成果の二つや三つは挙げている筈である。

 ならば50を過ぎたら何を為すかと言うと、自分や家族のために生きるのではなく、人様や世間のために生きることだと思う。つまり、余生は利他に生きて行きたいものだ。

 この国は資源も乏しいから、必要なのは人材だ。人は大化けに化けることが出来る。 昨今の世界の紛争を見ると、国を失った人の耐え難い苦しみは言語を絶する。国家や民族という存在は、歴史や価値観を共有する仲間であって、この仲間を大切にしなければ、命も家族も守って行けないとつくづく思う。

 歴史はイキサツだ。この経緯を知って我々祖先が歩んできた道を辿ると、日本の立ち位置がわかり、これから世界の平和と幸福のため、我々が何をすべきかが了解出来る。

 コロナによって疎遠になった人間関係の修復をもはかりつつ、人材の育成をひしひしと思う日を重ねている。

岡本彰夫さん プロフィール:

奈良県立大学客員教授、「こころ塾」塾頭ほか。昭和29年、奈良県生まれ。昭和52年、國學院大學文学部神道科卒業後、春日大社に奉職、数々の古儀を復興。平成27年6月に春日大社(権宮司職)を退任。著書に『大和古物散策』『大和古物漫遊』『大和古物拾遺』(すべて、ぺりかん社)、『神様にほめられる生き方』(幻冬舎)、『道歌入門』(幻冬舎)ほか。

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