学生がつくるオンライン大学「GPU」。山本康二さんに聞く
yamamoto GPU

 ジェネラボでも先日ご紹介した、学生がつくるオンライン大学「GPU」。学長としてGPUの学生を支え続ける山本康二さんに、GPUの取り組みについてお話を伺いました。さまざまな事業を成功に導いてきた山本さんが、GPUを通じて実現しようとしているのは、社会への還元。次の世代をけん引する若い人たちに社会をしってもらうきっかけをつくるGPUの取り組みを、山本さんはなぜ始め、今後どんな機会を若い人たちに手渡していこうとされているのでしょうか?

200時間強、学生と座談会をして分かったこと

 この事業は基本的に社会還元活動なんです。運営すべては学生が担っています。事業化にあたっては、それに先立ち200時間以上にわたって学生たちと座談会をしたんですよ。人生全般のこと、受験、恋愛、学校、親との間の悩みとか。

 多岐にわたるテーマで話し合いをしたのですが、そんな中分かったのは、90%以上の若い人たちが、今後何をしていいのかが決まっていない、ということでした。中にはもちろん、弁護士とか医者とか、明確な夢を持っている人もいるわけですが、ほとんどは将来が見えていない……。彼らに圧倒的に不足しているのは、世の中にどんな職業があるのかということや、将来のキャリアを思い描くために必要な情報だということが分かったんです。

 昔はインターネットもなかったし、何か必要な情報を探そうと思ったら、近所の大人に聞くとか、知り合いを頼るなど「自発性」が必要だったわけです。今は便利な世の中になった反面、個人情報保護法やら何やらで、逆に自発的に情報を取りに行けなくなった現状がありますよね。だから親とか先生とか、思いのほか若い人たちは限られた大人としか付き合えない状況を生きている。

 そうした状況を踏まえて、学生たちが自分を見つける場としてGPUが機能すればいいなと思っています。社会の知見、多くの考え方に触れる中で、自らが葛藤しながら方向性を見出していくこと。そうした場所はとても重要だと思っています。私は様々なビジネスをしてきているので、自分の人脈の中から学生に話をしてくれる人を集めることが出来ました。人生を考える多くのきっかけを、GPUで学生たちが得てくれたらと願います。

Yamamoto Koji

大人の役目は、自分たちが受けた恩を次の世代に残すこと

 お子さんがいる、いないなどに関係なく、どんな人であっても社会の構造は「世代間」で考える視点を失ってはいけないと思うんです。そもそも私たちは結構平和な時代に大人になれて、いろいろなものを前の世代から受け継いでもらえたことで「今」を生きているわけですよね。戦時中のように食べ物がないというわけでもなく、治安も良い環境で生きることが出来ている。それって自分たちの前の大人がそういう環境を作ってくれたから可能になったわけです。だからこそ、私たちもそれらをちゃんと、次の世代に受け継いであげないといけない。その循環こそが、人の人生そのものだと思いますし、つないでいくべき「社会のカタチ」なんだと感じます。人は社会と自分とのつながりを常に意識しないといけない。

 だからGPUに関わってくれている学生たちが、先人たちの話を聞いて成長していく様を見るのは、やっぱりうれしいです。もちろん求めれば学びは色々な場所にあるものですし、彼らはそもそも成長過程にいる。だからGPU以外にも成長するきかっけを生む場所はあると思いますが、学生たちが「何を自分は発信していけるのか」とか「どうやったら世の中に役立つ大人になれるのか」とか、社会とのつながりを意識できるマインドセットを得ていく環境がつくり出せたことは、とてもよかったなと思っています。

 自発的に自分が出来ることを社会の中で見つけられるマインドセットがあれば、例えば自給1000円の仕事であっても、ただ時間内働くのではなく、お客さんのために出来ることに気づけるようになったりする。どうしたらもっと喜んでもらえるのかとか、どうしてお客さんはこのコーヒーを残してしまったんだろうとか。気づいたり、疑問をもてたりするようになる。そんな風にちょっとしたことに気づくことは、まさにイノベーションの基礎でもあります。またそうしたマインドセットは起業家精神を創る上でも、とても重要だと思っています。

「出る杭」になることを恐れない生き方

 社会ではいろいろなことを「常識」とします。その常識が大衆を動かしてしまうことがあります。誰かが右を向けと言ったら、何も考えず右を向いてしまうというか。けれど若い人には「社会がこういうから」とか、「親がこういうから」とかいうことで人生を決めてほしくないと思います。自分の人生の選択は、彼らが自分たちで判断することが大事です。一人でも多くの若い人たちに、自分の力で人生を切り開いてほしいと。

 そのためには、時に「出る杭」でいいんですよ。「自分自身であること」を恐れてほしくない。私は自分の社員によく言うのですが、遠慮して自分の意見を言えないことは「悪」なんです。尖った意見はあってしかるべき。いろんな生き方、考え方はあっていい。出る杭は歓迎されるべきです。

 GPUを通じて若い人に知ってほしいのは、職業そのものだけでなく、さまざまな大人のさまざまな考え方でもあります。間違ってはいけないとか、みんな一緒でいいとか、そうした考えがスタンダードじゃないことを知ってほしいんです。そして、失敗しても立ち上がれるということを先人たちから学んでほしい。ほとんどの登壇者が人生で何か挑戦することの大切さや、失敗してもやり直しがきくということを語ってくれていますが、本当にその通りなんですよ。学生たちが小さくまとまらず、「自分自身を生きる」ということの大切さに気付き、自らが見出してほしいなと願っています。