「やりたいことを決めて、やりきる」ことを目指して

三浦明彦 (ゲームデザイナー / ミウラアニ・アンド・アソシエイツ)

 これまで自分を指導してくれたいわば恩師だったり、仕事関係で一緒にがんばった戦友だったりする方々には、女性が大勢いた。

 われわれの業界でも、組織でビジネスを進めるにあたっては、「縄張り争い」とか「主導 権争い」とか「誰の責任になるのか」などといった、ものづくりの本質とは関係のない事柄に翻弄されることがある。

 しかし、女性の恩師や戦友たちは、決してそうしたことを優先せず、どうしたらよりスムーズ に、より純度の高いものづくりができるか、それを第一に行動してくれることが多かった。

 彼女たちの多くは、自分の趣味や生活の面でも、やりがいやすべきことを持って充実した 日々を歩まれていた印象が強い。

 『50代からの生き方のカタチ——妹たちへ——』に登場する姉たちのように、彼女たちもなにかしら「やりたいことを決めて、やりきる」ことを目指していたから、仕事においても生活においても、無駄な寄り道をしない考え方が身についていたのかもしれない。

 寄り道をせず、自分の本質を目指して日々充実した人生を歩む。これこそ、人生の残り半 分に相応しい生き方ではないか。そして、この本に刻まれた姉たちの言葉には、それに近づく ヒントがあり、行動に移す勇気のもとが詰まっている。

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日本を世界にしらしめた数々のゲームを生み出したゲーム・クリエイター、三浦明彦さん

三浦明彦さん プロフィール:
1980年代からゲームソフトの輸入販売・開発会社にて黎明期の北米ビデオゲームを学び、1986年から西武セゾングループや任天堂と糸井重里氏による開発会社にてゲームソフト、テレビ番組、書籍を制作。その後、株式会社クリーチャーズ・株式会社ポケモンにて『ポケモンカードゲーム』など制作。2002年には任天堂と株式会社ポケモンが資本参加する開発会社ジニアス・ソノリティの設立に加わり、取締役開発室長。2012年に独立し、スマートフォン向けゲームなど制作。代表作に『テレビゲーム - 電視遊戯大全』『MOTHER 2ギーグの逆襲』『ポケモンコロシアム』『ティンカー・ベルDS』『DS文学全集』などがある。

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