祖母や母からの教えを倍にして次に残したい

岩城紀子(Smile Circle株式会社 代表取締役社長)

 現在、日本人の寿命は100歳にまでおよぶと言われています。そうなると、子供を産んで育ててからが人生の折り返しになります。今でも女性は結婚、出産、子育て、そして介護と、男性に比べてやらなくてはいけないことがたくさんあるのも事実。でも、それだけの経験をするから女性は強く、そしてそれが人生の肥やしとなりプラスになっていくと思うのです。そんな女性たちが活躍する社会を作るのは、「活躍したい」「世の中の役に立ちたい」と思う女性たちがどれだけ増えるかによると思います。

 私の起業の原点は「おばあちゃんの料理」です。起業以前には、人気のブランドやお給料の良い仕事、最先端の現場など様々な経験をしましたが、あるとき「私が幸せを感じるのは、美味しい食べ物と、それを一生懸命に作る人の話を聞く時だ」と気づきました。幸せを常に感じて、たくさんの方にそれをお裾分けしたくて、この仕事で起業しました。

 人それぞれ幸せの物差しは違います。そして、その幸せの中身は年齢や経験からも変化していきます。残りの人生をどう生きるか、誰と仕事がしたいか、何を達成したいのか、そして何を次の世代に引継ぎ、残せるのか。

 食から気を感じることがあります。作る人の気持ちが食に移行するのです。私の祖父母も最後まで元気にこの世を全うし、母も私も病気はほとんどした記憶がありません。すべては、おばあちゃんが作ってくれていた食に理由があると思っています。

 私たちは食べた物で出来ています。食生活を見直すだけで日本の医療費を減らし、その分を未来ある子どもたちに使うことができます。家庭はもちろん、国を越えて変えられることがまだまだたくさんあります。

 私にとって、次世代継承とは使命です。人から教えてもらった分、それを経験し実行することが早くなる。だからこそ自分なりに+ αの新しい試みをして、祖母や母から教えてもらったことを倍にして次に残したいと思います。

美味しい食や素晴らしい生産者と出会うと「幸せ」を感じるという岩城紀子さん
www.smile-circle.com

岩城紀子さんプロフィール:

1972年兵庫県生まれ。ギャップジャパン、機能性食品開発のバイオベンチャーを経て、2008年にSmile Circle株式会社を設立。「素晴らしい食品をつくりながらも商売下手な」生産者に代わって販路拡大、商品開発を担いながら大手百貨店、大手食品通販のバイヤー代行として事業を展開。約100社以上の販売先と、全国各地の約3000社のメーカーと取引する。グループ会社として、NYチョコレートのマリベルやショップ&デリのグランドフードホール、一日製造数量限定のバウムクーヘンや漢方などの事業も行っている。

現在は食品の「裏を見て」買い物をすること、「買い物は投票」という考えを世間に広めながらの活動と、「添加物を限りなく減らしたい」「身体に良い食品を作りたい」という考えをもつ企業や食品メーカーの商品開発やコンサルティングを精力的に行っている。

著書に”裏を見て「おいしい」を買う習慣”(主婦の友社)
出演に”カンブリア宮殿”(テレビ東京 2020年5月21日放送)
”セブンルール”(関西テレビ2021年11月23日放送)

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