1つ時計を買うと、1本植樹。大切なのは社会還元の具体性

社会還元の内容はクリアで分かりやすいほど良い

 企業の理念と事業姿勢の中にジェネラティビティという概念を置き、顧客と企業が一体となって次世代にプラスの影響を与える「社会還元共有型コミュニティ」を構築し、導入する社会還元共有型マーケティング。このマーケティングに成功している企業の特徴は、顧客と共有しようとする社会還元の内容が明確である点です。

 たとえば環境問題がテーマの場合、「環境を守るために寄付をします」という支援はたくさんあります。それが「弊社ではXXXの売上の一部を環境問題(CO2削減のためなど)を解決するためにXXXX財団に寄付します」という内容であれば、もっと分かりやすくクリアに社会還元の内容が伝わるため、顧客の心はより大きく動きます。

時計メーカーが行った植林プロジェクト

 ひとつ例をあげましょう。Analog Watch社という企業が取り組む植林支援は、顧客に届けられるメッセージと支援の内容が具体的で良い例です。シンプルで美しいデザインと、そのメッセージ性の明確さで注目されている時計ブランドで、取り扱い店にはニューヨークの近代美術館(MOMA)やゲッティ美術館ストアなどが名を連ねています。

  同社は時計の素材となる資源の保護活動に力を入れており、木で作られたカーペンター・コレクション($95)の場合、腕時計をひとつ購入すると、1本が植樹される仕組みになっています。植樹自体は同社が行うのではなく、非営利団体「Trees for The Future」と提携して行っているのですが、すでに数千本の植樹実績があるそうです。こういう仕組みは消費者にもわかりやすいだけでなく、その活動に参加した達成感も得やすい良い見本。こういうことを行う企業が世界中で増えるといいですね。

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